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教育理念

 「共通絵画」は、造形という大きな視点から、美術・デザインの専門性の位置づけや基礎を確認するために設けられている、武蔵野美術大学に固有の伝統的なカリキュラムです。ここでは、自分の専攻とは異なった美術領域での制作(授業)をとおして、「造形の基礎とは何か」を模索し、見いだすことを目的としています。
 授業は、自然物を始めとするモチーフを「見て、描く」、絵画制作を中心としたカリキュラムで構成されています。制作するアトリエは、「それぞれの学生が現在もっている自分の資質に気付く(出会う)場所」です。さらに「挑戦」をキーワードとすることで、そのプロセスから生まれる「一人ひとりの未知なる自己の発見」をめざした授業を行います。

 「共通絵画」の制作は「完成」を目的とするのではなく、挑戦し続け悪戦苦闘する、学生の“持続する熱”を求めています。ですから、作品の巧拙は問いません。学生一人ひとりが五感をフルに動員し、「ものを見て、感じて描く」、“感じる力”を育むことをめざします。
 制作では、まず、自分自身を自由に解き放つ「自己解放」を試みます。また、固定化した自分自身を疑い、自身の可能性を探る「概念打破」に挑みます。さらに、対象を見る、作品を見る、自分自身を見るといった“見続ける時間”のなかで、自身と向き合う「対決姿勢」を獲得していきます。
 こうした挑戦的な制作が、それぞれの学生の“感じる力”を目覚めさせてくれるものと信じています。そしてこの授業が、感性や個性を刺激し合い、若者のエネルギーにあふれた“挑戦(実験)の場”になればと考えます。

 「共通絵画」での制作をとおして異なる美術領域の価値観にふれ、「造形の基礎とは何か」を模索し、また、未知なる自己を見いだすことは、これから学ぶ専門領域の深化につながり、「将来の自己の専門性を支える微量要素」となるに違いありません。現代の社会はめまぐるしく変化し続けています。その変化に流されることなく、自己の価値観と判断によって、新しい創造性を「開拓する人」として歩んでほしいと願います。

 学生の主体的な熱意と努力、根気に支えられた強い意志の持続によって、造形の根源、あるいは本質にふれるような制作を期待しています。